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日曜日の朝、十時を少し回った頃だった。
幸彦は、二階の寝室のベッドの上で本を読んでいた。
いや、本を読んでいるように見せかけていた。
その実、字など目に入らず、そわそわと落ち着かない。
妻の美智子が、時折、幸彦がいる寝室を訪れ、乾燥が終わった洗濯物を寝室に持って来ては、畳んで、タンスにしまう仕事を繰り返している。
彼は美咲からのメールを待っていた。
昨日、美咲から誘いのメールがあったのだ。
『明日、時間空いてる? ホテルで日中からしない? 生理が近いみたいで、うずいてだめなの……』
『しょうがないなぁ……何とか都合つけるよ』
『家事とか終わらせて行くから、終わったらメールするね。待ってて』
最後には動くハートマークが付いていた。
美咲は幸彦の不倫相手だ。
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2016/03/12(土) 11:42 短編小説 PERMALINK COM(0)
会社に着いて、いつものドアを開ける。
いつものように彼女がいた。
声を掛ける。
「おはようございます」
彼女もいつものように、僕と目を合わさないように小さくあいさつを返す。
あくまで控えめだ。
僕は、入社して一ヶ月。
電車の都合で毎朝他の社員よりも40分は早く着く。
彼女はもっと早い。
僕が着くころはもう彼女はひとりでここを掃除をしている。
だからしばらくは社内では二人っきりだ。
前から彼女のことが気になっていた。
好みのタイプなのだ。
あの、むちむちとした体型が……。
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2016/03/11(金) 08:18 ショートショート PERMALINK COM(0)
「あなたの、きれいよ」
ある女性と付き合うようになって、二度目の逢瀬のときに、彼女にそう言われた。
「形とか色とか、今まで見た中で一番きれい」
私もいままで「きれい」と言われたのは初めだった。
その前に、自分のものの感想を言われた事自体初めてだが。
「じゃ、他の男は?」
と訊きそうになったが、そんな無粋なことを訊ねるのは私の美学に反することなので止めた。
彼女はよく口でしてくれた。
それも長時間。
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2016/03/09(水) 09:36 エッセイ、雑記 PERMALINK COM(0)
高校生の娘が彼氏を連れてきた。
二人とも神妙な面持ちで、父親の前に並んで座った。
娘が重々しく口を開いた。
「お父さん、怒らないで聞いて欲しいの……」
「もしかして……お、お前ら……お、お俺は、出来ちゃった結婚なんて絶対許さないからな!」
「ですから、そうなる前に結婚したいんです。昨日ぼく、失敗しちゃったから……」

2016/03/09(水) 09:03 小噺 PERMALINK COM(0)
大学の二次試験を来週に控えた日曜日。
女子高校生の部屋には少し春めいた日差しが差し込んでいた。
勉強机に向かい、鉛筆を握る女の子。
その女の子の耳に、家庭教師の女子大生がささやいた。
「もう、私が教えることはないわ。あとは、受験会場での集中力だけよ」
「は、はい……」
女の子が、家庭教師の吐息に首をすくめる。
「周りでは鉛筆を走らせる音、鼻をすする音、貧乏ゆすりなんかする子もいるわ。でもそれを気にしちゃだめよ。目の前の答案用紙だけに集中するの。わかった?」
「あっ、はい……でも……あっ、先生……」
女の子の耳たぶが、甘噛みされたのだ。
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2016/03/08(火) 08:15 ショートショート PERMALINK COM(0)
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