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「あなたの、きれいよ」
ある女性と付き合うようになって、二度目の逢瀬のときに、彼女にそう言われた。
「形とか色とか、今まで見た中で一番きれい」
私もいままで「きれい」と言われたのは初めだった。
その前に、自分のものの感想を言われた事自体初めてだが。
「じゃ、他の男は?」
と訊きそうになったが、そんな無粋なことを訊ねるのは私の美学に反することなので止めた。
彼女はよく口でしてくれた。
それも長時間。
10分くらいは当たり前だった。
私もこんなに長い時間口でしてもらうのは初めてだった。
彼女は、私を悦ばせるために、というよりは、自分がしたいからしてるように見えた。
彼女がしているのを見ていると、私と目を合わせるのはまれで、目を細めてその行為に没頭してるからだ。
特に先端の部分が好きなようだ。
先端を口に含んでは舌で転がしたり、唇だけでしごいたりする。
「ここ、ぱんぱんに張ると、つるつるになるの。マシュマロみたい」
彼女に言わせると、先端を口に含んだ感触は、マシュマロに近いらしい。
男から見ればもっと硬いものだと思っていた。
「ぱんぱんになればなるほど、美味しいの」
彼女は私の棒の部分を軽く握るだけで、上下にしごくということはあまりしなかった。
よくしたのが、先端に大きく舌を当てたまま、舌を動かす代わりに、中間部を握って左右に小刻みに動かすやり方だった。
そしてもう一方の手は、私の「皮の袋」を弄ぶ。
「ここはね、繭玉みたいなの」
そこを、そう表現する。
しぼんだ風船のような皮の中に入った繭玉を、彼女は手の平で持ち上げたり、軽く指先で握って、ころころと中で逃げる感触を楽しむ。
「だらんと垂れ下がった皮の中の、ころころ転がるの触ってるの好き」
「つぶせそうなんだけど。つぶせないのよね」
「でもね、しぼんでいた皮が、段々硬くなってくるでしょ? あの感覚も好き。ぱんぱんなのに、でざらざらなの」
男に射精の瞬間が迫ってきているときのことだろう。
「来た、来た、って感じ」
その私の変化を感じると、今まで没頭していた行為を止めて私に言う。
「いいよ。おいで。出してもいいよ」
そうするとやっと彼女は、口でするのと一緒に手を使ってしごき始める。

他の女性だったらどんな例え方をするのかわらないが……。
「ひとつの目的のために作られたものは美しい」と聞く。
男の最大値になったときの形状は、はやり、ひとつの目的のために作られたものだ。
その形でなければいけなかったのだ。
でもその形は、男が求める女の前で作られるもの。
だから、一見グロテスクに見えても、求められてると感じる女性にとっては、きれいなものに映るのかもしれない。


2016/03/09(水) 09:36 エッセイ、雑記 PERMALINK COM(0)
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