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病室だった。
男は喘ぎながら言った。
「お前……すまん……俺……もう……だめだ……」
妻は泣きながらいった。
「あなたって、いつも私より先にいっちゃうのね……」

2016/03/22(火) 11:08 小噺 PERMALINK COM(0)
初夏だった。
彼女と付き合い始めて一ヶ月が過ぎようとしていた。
私たちは会社帰りに、いつもの通り、いつもの場所で落ち合うと、いつもの通り、人けのない、舗装もされていない、山道を車で昇って行った。
ここ二週間ぐらいで、私は車の中で彼女に愛撫できるような仲まで進展していた。
でも、それから先へは進めないでいた。
そのタイミングがつかめないでいたのだ。
彼女とひとつになるその時は、何か特別な日にしたかったのだ。
そして、その時は時間を掛けて愛し合いたいと思っていた。
その日をいつにするか、決めかねていたのだ。
だからその日も、いままでと同じような日のはずだった。
その山道から更に細い脇道に入る。
この道は初めてだった。
急な上り坂にる。
しばらく行くと行き止まりになり、何度か切り返した後、車の鼻先を今着た方向に戻した。
車を停めた。
運転席側は雑木林、反対側は崖になっていた。
崖の方向に満月が低く顔を出していた。
大きかった。
明るかった。
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2016/03/19(土) 17:14 短編小説 PERMALINK COM(0)
車は遅々として進まなくなった。
渋滞にはまったようだ。
日曜の夕方だ。
やむを得ないかもしれない。
初夏の夕暮れの光がビルのガラス窓に反射し、ハンドルを握る凜子の目に、時折刺ささる。
不意に、カーラジオから曲が流れ始めた。
低音の女性シンガーだ。

それでもいい……
それでもいいと思える恋だった
戻れないと知ってても
つながっていたくて……
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2016/03/19(土) 08:08 短編小説 PERMALINK COM(0)
「あ、また、動いた……」
拓也が、結衣のひざ枕の上でつぶやく。
耳と手は、結衣の大きなお腹に押し当てられていた。
彼らの寝室のベッドの上だった。
二人とも裸だった。
つい先ほどまで、二人で風呂に入っていたのだ。
「ほら、またっ」
拓也が結衣を見上げて微笑む。
「すごいなあ、ここに赤ちゃんが入っているなんて……」
結衣は、まだ少し濡れている拓也の頭を撫でた。
幸せなひとときだと思った。
今日は、拓也の会社の飲み会があった。
結衣は10時過ぎに拓也を車で迎えに行った。
同僚の女もひとり一緒いた。
途中、女を家に届け、家に帰ってくる頃には11時を過ぎていた。
家に入ると、すぐさま二人でバスルームへ行き、お互いの身体を洗い合い、二人でバスタブに浸かった。
今、バスルームからでたばかりの姿で寝室に来たのだ。
結衣は、帰ってくるときの車の中や、バスルームで拓也に訊きたい気持ちを抑えていたのを、今開放した。
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2016/03/18(金) 08:20 ショートショート PERMALINK COM(0)
情事の後のベッドの上でだった。
「あなたと一緒に暮らしたいわ……」
彼女が呟いた。
「そんなの、無理だよ、お互い結婚しているんだから……」
「馬鹿ね、女は嘘でも安心させられる言葉が欲しいのよ。ほんとあなたって女心が分からないのね」
次の日、情事の最中だった。
「え! あなた、今、中に出しちゃったでしょ?」
「うんん、出してないよ」

2016/03/17(木) 18:28 小噺 PERMALINK COM(0)
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