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夕方、家に帰ると、玄関からいつものよう真っ直ぐリビングに向かう。
「ただいま~」
と大きな声で入る。
パパ、風呂上りなのかタオル首に巻いて、リビングのソファに座って缶ビール飲みながらのんびりニュース観てる。
パパのテーブルの上には、わかめときゅうりの酢の物の小鉢が載っている。
「おう、おかえり」
とパパ。
モモちゃんはというと……リビングの奥のキッチンでエプロン姿で料理作ってる。
今日もいい匂いが漂っている。
もう、いつもの光景だ。
「お腹ペコペコー、モモちゃん、ゴハンまだー?」
「おかえり、ナナちゃん。もうすぐできるから、あ、これテーブルに運んで」
「うん」
モモちゃん、大きいお腹ゆすってお料理してる。
モモちゃんのお腹の中に赤ちゃんいるの。
誰のって? 
もちろんパパの……。
まあ、あれから1年、いろいろあって大変だったよ。
でも、こんなかたちに落ち着きました。
あたしの友達だったモモちゃんは、今ではパパの奥さん。
お腹の赤ちゃんはあたしの弟。
あ、男って分かったから。
んーでもモモちゃんは、あたしのママではないかな……。
かわいらしかったモモちゃんは今、なんか、もう“大人の女”って感じ?
パパに向ける眼差しは、優しくもあり、強い決意みたいなものも感じられる。
多分、パパ、浮気したら、モモちゃんに殺されるよ。
でもモモちゃん幸せそう。
パパも。
あれからしばらくして、モモちゃんとこの家で一緒に暮らすようになって、夜、何度かモモちゃんの声聞こえた。
必死に声を出さないようにしてるのわかるんですけど、
『ああっ!』とか
『あっ……あんっ……』とか
はっきり聞こえてますから。
しまいに
『あああっ! きてっ! 中にーー!』
って絶叫だし。
もう覗く気も起こらない。
次の日から、耳栓、必需品。
てか、もうちょっと自粛してよね、パパも。
ん、待てよ。
ママがいたときは、ママの声なんて聞こえなかった……。
ってことは、もしかして、二人はセックスレスだった?
それが離婚の原因?
ま、いいや、今は。
とにかく早く自立して、この家出よ。
妊娠が分かったときかな、モモちゃんに訊いたことがあるんだ。
「なんで、うちのパパだったの? もっと若くていい男いっぱいいるじゃん」
モモちゃんお腹に手を当てながら言う。
「このうちにナナちゃんと来て、初めてヒロシさん見たとき、お腹の奥が……子宮が、ずんって動いたの。『あっ、あたし、この人の子供生むんだ』……ってそのときそう感じたの」
「へえー」
「それからは、ヒロシさんのこと好きになるの、全然怖くなかった」
「ふぅーん」
「モモちゃん、ヒロシさんに会わせてくれてありがとう」
お礼言われちゃった。
ああ、モモちゃんのあの積極性はここからきてたのか……と思った。
それにここまで来るまで、いろんな障害あったけど、モモちゃん全然ひるまなかったしね。
やっぱり、モモちゃん、やるときはやる子だったんだね。
母は強し……か。
と言うより、母になろうとする女は、強し、だね。
はあー、あたしにもいつかそんな子宮に、ずんっ、てくる相手が現れるのかなぁ?
あっ、でもあたしは断然若い子の方がいいな……。
あっ、できればお金持ちで……。
神様、そこんとこはご配慮ください、お願いします。
あっ、でも、その前に、できれば早めに……バージン……卒業させてください。

2016/04/28(木) 16:34 短編小説 PERMALINK COM(0)
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